杞憂(きゆう)の由来と使い方をわかりやすく解説

杞憂(きゆう)の由来と使い方をわかりやすく解説

yuki

「杞憂」の読み方は「きゆう」、意味は「心配しなくてもよい余計なことまで心配すること」です。

この記事では、「杞憂」の由来と使い方を詳しく紹介します。

この記事の著者
yuki

yuki

プロフィール

福岡県出身、東京都在住
YouTube、SNSを使って中国語を学ぶ。weiboでは半年で1000件以上のコメントのやり取りをし、独学のスタイルを確立。その後本格的に勉強をはじめ、中検2級一発合格、HSK6級223点取得。2019年上海へ留学し、中国語と中国文化を学ぶ。
当サイトに掲載されている中国語は全て中国人のチェックを受けています。
運営者情報はこちら

「杞憂」の意味と由来

「杞憂」の正しい言葉遣いをマスターしましょう。

読み方と意味

ことば杞憂
読みかたきゆう
意味心配しなくてもよい余計なことまで心配すること

「杞憂」の由来

「杞憂」の由来は『列子』に記されています。

周の時代にという国があり、この国に大変心配性な男がいました。

この男の心配性は、他の人とはわけが違いました。

あるとき男は、次のような心配をし始めました。

天地が崩れ落ちてきて住む場所もなくなったらどうしよう

男は食欲を失い、不眠症になってしまいました。

するとこの男を心配する人が、男の心配に答えて、心配の種を消していきました。

天とは空気が集まっているところだから空気のない場所などありません。私たちの動作や呼吸は今まさに天でしているものです。天の崩壊を心配する必要などありません

天が空気でできているとしても太陽や月や星は落ちてきませんか?

太陽や月や星はその空気の積もった中で光っているだけです。落ちてきてもそれにぶつかってケガをすることはありません

では地が崩れたらどうなりますか?

地は土が積み重なっているだけで、土のないところなどありません。私たちは歩き回り、一日中この地の上で動いています。地が崩れる心配をする必要などありません

この話を聞いて心配性の男は心配が消え大いに喜び、心配性の男を諭した者もまた心配が消え大喜びしました。

このエピソードが由来となって、「杞憂」という言葉が生まれました。

発祥起源

杞憂の起源
「杞憂」の由来となったエピソードは周の時代の中でも春秋時代(紀元前770年~紀元前403年)に起こりました。

「杞憂」が記されている『列子』の成立時代や作者には諸説ありますが、中国・戦国時代(紀元前403年~紀元前221年)頃、列禦寇が著したとされています。

「杞憂」の使い方・例文

「杞憂」は熟語としてそのまま使用されます。

昨日の試験、うまくできてるかな…

yuki

あんなに勉強したじゃん、大丈夫だって
あ、名前書いたっけ…

yuki

それは杞憂だよ。ほら、終わったことなんか忘れて次の試験がんばろ!
母は娘の進路を心配していたが、それは杞憂に終わった。
杞憂だと知っていながらも、私はその件に関して心配せずにはいられなかった。

「杞憂」の類義語

「杞憂」の類義語は以下の3つがあります。

  • 懸念
  • 憂慮
  • 取り越し苦労

「杞憂」の類義語①懸念

言葉懸念
読み方けねん
意味①気にかかって不安になること
②仏教で一つのことに心を集中させること
③執着すること、執念のこと

「杞憂」の類義語②憂慮

言葉憂慮
読み方ゆうりょ
意味心配すること、思いすぎて心をわずらわせること

「杞憂」の類義語③取り越し苦労

言葉取り越し苦労
読み方とりこしくろう
意味心配する必要のないことを無駄に心配すること

「杞憂」の漢文と書き下し文

それでは、「杞憂」の漢文を見ていきましょう。

「杞憂」の白文

杞憂の漢文
引用:『教科書 高等学校 標準 古典B 漢文編』 第一学習社

「杞憂」の書き下し文

>>読み飛ばす
杞國有人憂天地崩墜、身亡所寄、廢寢食者。
杞国きこくに人の天地崩墜ほうついして、身の寄する所亡きをうれえ、寝食を廃する者有り。
杞の国に、天地が崩壊して自分の住む場所がなくなってしまうことを心配し、寝食もろくにできなくなったものがいた。

又有憂彼之所憂者。
又彼のうれうる所あるを憂うる者もの有あり。
また、彼が心配しているその様子を心配しているものもいた。

因往曉之曰、
よりきて之をさとして曰わく、
そこで、心配性な彼のもとへ出かけていき、次のようにさとした。

天積氣耳。
天は積気せっきのみ。
天というものは、大気が積み重なっただけにすぎない。

亡處亡氣。
ところとして気きは亡し。
大気のないところはどこにもない。

若屈伸呼吸、終日在天中行止。
屈伸呼吸のごときは、終日天中に在りて行止こうしするなり。
屈伸や呼吸は、常に大気の中で行っているものなのだ。

奈何憂崩墜乎。
奈何いかんぞ崩墜を憂えんや、と。
どうして点が崩壊することを心配する必要があるだろうか?いや、ないだろう。

其人曰、
其の人曰わく、
心配性の彼は、次のように言った。

天果積氣、日月星宿不當墜邪。
天果たして積気ならば、日月じつげつ星宿せいしゅくまさつべからざるか、と。
「天が大気の積み重なりであるとしても、太陽や月や星座は落ちてくる心配がないのだろうか?」

曉之者曰、
之をさとす者曰わく、
諭す人は、次のように言った。

日月星宿亦積氣中之有光耀者。
日月じつげつ星宿せいしゅくまた積気中の光耀こうよう有る者なり。
太陽や月や星座も、また積み重なった大気の中で輝いているものなのだ。

只使墜、亦不能有所中傷。
只使たとい墜つとも、亦中傷ちゅうしょうする所有るあたわず、と。
仮に落ちてきたとしても、それが人に当たって傷つけるようなものではない。

其人曰、奈地壞何。
其の人曰わく、地のくずるるを奈何せん、と。
心配性の彼は、「大地が壊れたらどうしようか」と言った。

曉者曰、
さとす者曰わく、
諭す人は、次のように言った。

地積塊耳。
地は積塊せっかいのみ。
大地は土の積み重なったものに過ぎない。

充塞四虚、亡處亡塊。
四虚しきょ充塞じゅうそくし、処としてかい亡きは亡し。
四方の空間ぎっしりに詰まっていて、どこにも土のないところはないのだ。

若躇歩跐蹈、終日在地上行止。
躇歩ちょほ跐蹈しとうのごときは、終日地上に在りて行止す。
大地を踏みしめて歩むことは、その大地の上に立って行っているものなのだ。

奈何憂其壞。
奈何いかんぞ其のくずるるを憂えんや、と。
どうしてその大地が崩れることを心配する必要があるだろうか?いや、ないだろう。

其人舍然大喜、曉之者亦舍然大喜。
其の人舎然せきぜんとして大いに喜び、之をさとす者ものも亦舎然せきぜんとして大いに喜ぶ。
心配性の彼は心がすっきりとしてとても喜び、それを諭す人もまたすっきりとしてとても喜んだ。

引用:『教科書 高等学校 標準 古典B 漢文編』 第一学習社

「杞憂」を英語で言うと

「杞憂」の英語表現は次の3つが挙げられます。

  • Needless fear
  • Groundless fear
  • Absurd fear

「杞憂」の英語表現①

Needless fear
「Needless fear」の意味は、「恐れる必要がないこと」です。

つまり、心配する必要のないことを指すので、「杞憂」の持つニュアンスと同じ意味で使うことができます。

「杞憂」の英語表現②

Groundless fear
「Groundless fear」の意味は、「根拠のない恐怖」です。

「Groundless」は「根拠のない」という意味を持ちます。

「根拠のない」ということは、必要がないという意味にも置き換えられるので、これもまた「杞憂」と同じニュアンスが含まれます。

「杞憂」の英語表現③

Absurd fear
「Absurd fear」の意味は、「ばかげた恐れ」です。

「Absurd」は「馬鹿馬鹿しい」という意味があり、これも「必要のない」という意味で使うことができます。

したがって必要のないものを恐れるというニュアンスがあるので、これも「杞憂」に置き換えることができます。

「杞憂」を中国語で言うと

「杞憂」の中国語は、2つがあります。

  • 杞人忧天
  • 杞人之忧
中国語杞人忧天
ピンインqǐ rén yōu tiān
カタカナチーレンヨウティエン
中国語杞人之忧
ピンインqǐ rén zhī yōu
カタカナチーレンジーヨウ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。